大判例

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福岡高等裁判所 昭和32年(う)1289号・昭32年(う)1290号 判決

よつて記録を調査し、原審で取調べた証拠を検討するに、本件金銭の受入がいずれも約束手形によつていること、原審が預金者として掲げた者の中には、会社の役職員及びその家族が含まれていることは所論のとおりである。しかしながら出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律第二条にいわゆる不特定且つ多数の者とは一般大衆を指すものと解する。従つて単に親族又は特殊な関係にある縁故者のみに限定され、しかもその範囲が極めて小範囲に止まる場合は、一般大衆とは解し得ないが、一般大衆を目的とした場合において、たまたまその中に親族、縁故者を含んでいたに過ぎない場合は勿論、更に進んで親族、縁故者の場合でも特殊な縁故関係もなくその範囲が広範囲に亘る場合にも、これを一般大衆と解するのが妥当である。そこで本件についてみるに、原審が預り金と認定したものの中には、会社に金を預けたのではなく、会社に金を貸したものである旨の証拠も存するが、それ等は会社役員又は会社役員と特殊な関係にある者の供述であつて、これを以つて本件を直ちに会社の借り入れ金であるとは解しられない。従つて本件受入金の性質は事案の全般的考察により決すべきである。ところが原審認定の預金者中には会社重役とは格別な縁故関係もなく、純然たる預金の意思であつた者も多数あり、又会社役員が自己の名義のみとせず、妻及び多くの子供名義を使用している事実、会社の資本金が五十三万円であるのに対し、原審認定の預り金は千四百六十三万円にも達し、且つその預金者が一〇七名に及んでいる事実等を綜合すれば、本件金銭の受入はその名義の如何を問はず、出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律第二条の業として預り金をなした場合に該当するものと認定するのが相当である。従つてこれと同一趣旨にいでた原審認定には事実誤認は存しないので、この点の論旨は理由がない。

(裁判長裁判官 柳田躬則 裁判官 中島武雄 裁判官 尾崎力男)

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